相続の手続き

相続手続の基本と流れについて

相続手続の基本と流れについて

相続の手続きとしては、以下に記載したとおり、3カ月以内に相続放棄をすることや、10カ月以内の相続税の納付があります。相続税については、とりあえず、法定相続分通りに収め、あとから金銭的な調整を図ることもできます。相続の問題を検討する際には、まずは、以下の3点の確認が必要となります。

1.相続人に誰がいるのかを明らかにする

遺産分割協議には、全ての相続人による合意が必要です。財産とは異なり、後から新たな相続人が発見されると、原則として遺産分割をやり直さなければいけません。

2.どのような財産があるのかを調べる

預金や不動産に限らず、保険金や年金など、わかる限り連絡を取って把握しましょう。なお、後から何かしらの財産が出てきた場合は、新たに分割すれば問題ありません。

 

3.遺言の有無を確認する

遺言がなかった場合は、相続人間で得られた合意を、「遺産分割協議書」に記します。登記変更や凍結された口座を解凍する場面で提出を求められることがあるため、必要となります。一方、遺言があった場合は、この手順を省略できます。ただし、自筆証書遺言については、裁判所による「検認」という手続が必要です。

一般的な流れ

項目手続き内容期限
相続発生 最寄りの役所に故人の死亡届を提出します 7日以内
遺言書の確認 「自筆証書遺言」がのこされていた場合は、相続人全員が裁判所で検認手続きを行い、その内容を確認します  
遺産範囲の確定 遺産に含まれるものと、それ以外の財産を仕分けし、目録を作成します 発見次第なるべく速やかに
相続人の特定 連絡が取れない親戚は、戸籍の附票をたどって連絡するか、調停を申し立てるなどして呼び寄せます  
相続放棄の判断 債務が超過している場合など、一切の相続権を手放すことが可能です 3カ月以内
準確定申告 故人が個人事業主の場合、その年の確定申告を、通常の時期とは別に行う必要があります 4カ月以内
相続税の申告と納付 被相続人の住所を管轄していた税務署に提出します 10カ月以内
遺留分減殺請求 相続から外されているか、保証されている取り分が侵害されているときには、申立てを行うことができます 1年以内

相続人の決まり方について

相続人には、あらかじめ決められた順位があります。まず、故人の配偶者は、相続から外されません。次に優先されるのは「お子さん」です。お子さんがもともといない場合は「故人の親」となりますが、亡くなられていた場合は権利がお孫さんへ引き継がれます。これを「代襲」といいます。さらに、親が存命でないなら「故人のご兄弟」になります。

<民法第890条・第887条・889条による規定>

配偶者 常に相続人
子(非嫡出子や養子を含む) 第一順位相続人
第二順位相続人
兄弟姉妹 第三順位相続人
相続人の決まり方について

相続分の決め方について

配偶者と相続人の順位によって、細かく定められています。

・配偶者がいる

  1. 1-1 ほかの相続人がいなければ、配偶者が全ての遺産を受け取る
  2. 1-2 第一順位のお子さんがいる場合は、配偶者が2分の1、残りの2分の1はお子さん全員で等分。ただし、代襲が認められる
  3. 1-3 「1-2」に該当せず、第二順位の親がいる場合は、配偶者が3分の2、残りの3分の1は親で等分
  4. 1-4 「1-2・1-3」に該当せず、第三順位のご兄弟がいる場合は、配偶者が4分の3、残りの4分の1をご兄弟で等分。代襲は一代に限り認められる

・配偶者がいない

  1. 2-1 第一順位のお子さんがいる場合は、お子さん全員で等分
  2. 2-2 「2-1」に該当せず、第二順位の親がいる場合は、親で等分
  3. 2-3 「2-1・2-2」に該当せず、第三順位のご兄弟がいる場合は、ご兄弟で等分

・誰も相続人がいない

受遺者がだれもおらず、特別縁故者もいない場合には、国庫に帰属します。

遺留分侵害額請求について

遺留分減殺請求について

兄弟姉妹以外の法定相続人には、一定の遺産を受け取る「遺留分」という権利が認められています。遺言よりも効力があるため、権利を侵害された場合は、相続の開始から1年以内に「遺留分侵害額請求」を申立てましょう(正確には、民法1048条で「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間」となっています)。上記にある法定相続分の、さらに2分の1を上限として、遺留分を主張することが可能です。ただし、直系尊属だけが相続人の場合(2-2のケース)、上限は3分の1になります。

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